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フルーツジュースは爽やかな風味と栄養価の高さ、そして即効性のあるエネルギー源として知られ、多くの量が消費されています。フルーツジュースを製品として考えたときに甘い飲料であるため、製品中の糖の含有量は非常に重要なパラメータとなります。中でも、フルクトース、グルコース、スクロースの含量は品質管理する上で非常に重要な糖類とされています。従来のラボ分析で果汁中のこれらの糖類を測定するには液体クロマトグラフィーに加え、屈折率測定が行われます。このように分析手法が複数ある場合には、全ての分析に技術や時間を必要とする上、それぞれの分析装置を必要です。

近赤外分光法(NIRS)は、果汁中のグルコース、フルクトース、スクロース、Brixを1分以内に同時測定できる分析技術です。さらに、化学薬品は不要で、サンプルの前処理も不要です。

グルコース(0~8g/100mL)、フルクトース
(0~8g/100mL)、スクロース (0~8g/100mL) の範囲で計27サンプルを用意し、定量分析のための検量線モデルを作成しました。サンプルはメトローム社製のDS2500 Liquidアナライザ (400-2500 nm, Fig.1)を用いて透過モードで測定しました。光路長2mmの使い捨てバイアルを使用したため、サンプル容器の洗浄は不要です。

10種類のフルーツジュースのサンプルを測定して、糖類(グルコース、フルクトース、スクロース)の含有量は上記で作成した検量線モデルを用いて評価しました。NIRSに用いた参照値はイオンクロマトグラフ(IC)にて測定した値を使用しましたすべてのNIRスペクトル取得と検量線モデルの開発にはメトローム社製のVision Air Completeソフトウェアパッケージを使用しました。

Table 1. 使用した機器

装置名 製品番号
DS2500 Liquid Analyzer 2.929.0010
DS2500 Holder 2 mm vials 6.749.2000
Disposable vials, 2 mm 6.7402.070
Vision Air 2.0 Complete 6.6072.208
Figure 1. メトローム社製DS2500 Liquidアナライザ

得られたVis-NIRスペクトル(Fig. 2)を用いて グルコース、フルクトース、スクロース、Brixの検量線モデルを作成しました。その検量線モデルは相関図および標準誤差等の統計値を用いて評価しました。
相関図を用いて予測モデルの品質を評価したところ、Vis-NIR予測値と参照値との間に非常に高い相関があることがわかります。それぞれの統計値 (Figure Of Merit, FOM)は、ルーチン分析における予測値の期待精度(Fig.3-6)を示します。Fig.7に本実験で測定した未知試料の各成分の標準誤差を示します。

Figure 2. DS2500 Liquidアナライザで測定したVis-NIRスペクトル
Figure 3. グルコースの検量線モデルの相関図と各統計値(ラボ値はICにて測定)
Figures of Merit Value
R2 0.9913
Standard Error of Calibration 0.2586 (g/100 mL)
Standard Error of Cross-Validation 0.2633 (g/100 mL)
Figure 4. フルクトースの検量線モデルの相関図と各統計値(ラボ値はICにて測定)
Figures of Merit Value
R2 0.9967
Standard Error of Calibration 0.1682 (g/100 mL)
Standard Error of Cross-Validation 0.1876 (g/100 mL)
Figure 5. スクロースの検量線モデルの相関図と各統計値(ラボ値はICにて測定)
Figures of Merit Value
R2 0.9902
Standard Error of Calibration 0.2390 (g/100 mL)
Standard Error of Cross-Validation 0.2401 (g/100 mL)
Figure 6. Brixの検量線モデルの相関図と各統計値(ラボ値は屈折計にて測定)
Figures of Merit Value
R2 0.9985
Standard Error of Calibration 0.2718 (g/100 mL)
Standard Error of Cross-Validation 0.2770 (g/100 mL)
Figure 7. 未知試料10サンプルの各成分の評価結果

本アプリケーションノートでは、近赤外分光法を用いたジュース中のグルコース、フルクトース、スクロース、Brixの定量分析の可能性を示しました。

Table 2. ジュースでよく用いられる分析手法

パラメーター 分析手法 結果が得られるまでの時間
グルコース、フルクトース、スクロース イオンクロマトグラフィ ∼5 分 (準備) + ∼40 分 (IC)
Brix 屈折計 1 分
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