石油製品中に含まれる水分は、問題を引き起こすことがあります。 パイプラインや貯蔵タンクでの腐食や摩耗、潤滑剤の減少によるデブリ負荷の増加、フィルターの詰まり、有害な細菌増殖などです。結果として水分の増加は、設備の損害、メンテナンス費用の増大、不要な設備の停止時間の増大につながることがあります。このようなコストのかかる原因となるため、水分含有量は多くの石油製品で規制されている重要な項目であり、製品の価格にも影響します。したがって、わずかな水分の違いでも販売価格に大きな影響を与える可能性があるため、正確で信頼性の高い測定が必要です。
石油製品は水分含有量が少ないため、電量法によるカールフィッシャー水分測定法が最適です。測定前にサンプルに含まれる水分を気化させるのに使用する水分気化装置を使用することで、サンプルの変質を減らすだけでなく、完全自動で水分測定を行うことができます。これにより、ASTMD6304 (手順B)に準拠した、ディーゼル、作動油、潤滑油、添加剤、タービン油、基油などの製品に含まれる水分量を正確に測定でき、費用効果の高い分析が可能になります。
実際に測定している動画を視聴できます(日本語字幕版):
水分気化装置を使用した、さまざまな石油製品の水分測定について、この技術資料では、ディーゼル、油圧オイル、潤滑油、添加剤、タービンオイル、ベースオイルなどの様々なサンプルの測定結果を掲載しています。
すべてのサンプルは、サンプリング前に完全にホモジナイズ(均質化)しました。ホモジナイズ後、サンプルをサンプルバイアルビンに直接秤量します。サンプル分取量は、予想される水の量によって異なります。サンプルバイアルビンは完全に密閉され、水分気化装置上のサンプルラックにセットされます。
測定開始前に測定セルを調整し、オーブンを目的の温度に加熱します。理想的な気化温度では、サンプルは分解を起こさずにサンプルから水分が放出されます。
装置が準備できて安定したら、サンプルを気化装置にセットします。キャリアガスがサンプルを通過し、気化した水分が測定セル側へ移動して、そこで水分が測定されます。
設定した終点に到達し、ドリフト(期間あたりの水の量)が事前に設定された値を下回るとすぐに測定とキャリアガスによる通気が停止します。
すべてのサンプルにおいて、サンプルの含水量や干渉成分が含まれているかに関係なく、水分気化装置を使用して許容範囲内の標準偏差が達成されます。さまざまなサンプルの結果を表1に示します。
サンプル (n = 4) | 平均 [mg / L] | 標準偏差 SD(abs) [mg/ L] | 変動係数 SD(rel) [%] |
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軽油 | 27.8 | 1.7 | 6.08 |
油圧オイル | 44.6 | 0.7 | 1.57 |
潤滑剤 | 22.9 | 1.1 | 4.63 |
添加剤 | 2830.7 | 6.2 | 0.22 |
タービンオイル | 18.9 | 2.5 | 13.39 |
ベースオイル | 17.0 | 0.6 | 3.41 |
874オーブンサンプルプロセッサと851タイトランドを用いると、ASTM D6304 手順Bに準拠して、石油製品中の水分を完全自動で測定できます。さらに高温でのサンプル分解によって引き起こされる不正確な測定を防ぐために、874で各サンプルの最適な気化温度を設定することができます。このようにこのシステムを使用することによって、最適な気化温度で干渉成分の妨害なく、正確に水分測定ができます。
Internal reference: AW KF CH5-0538-082019