過酸化物価は食用油脂の品質を評価するための重要なパラメータです。これによって、油脂中の不飽和脂肪酸が酸素と反応して形成される過酸化物やヒドロペルオキシドの存在について、定量的情報が得られます。過酸化物およびヒドロペルオキシドが形成されていると、油が臭くなるため、過酸化物価はサンプルの鮮度を表す情報となります。
本アプリケーションノートは、EN ISO 27107、EN ISO 3960、AOAC 965.33、Ph.Eur. 2.5.5、ならびにUSP<401>に準じた、菜種油およびオリーブ油の過酸化物価の滴定による測定について記述しています。DIS-Cover技術を利用すれば、サンプル前処理工程がすべて完全自動化でき、測定者の貴重な時間が節約できて、ラボの生産性が向上します。
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2種類の食用油、菜種油とオリーブ油で測定メソッドを実演します。いずれのサンプルも、サンプル前処理は不要です。
この分析は、OMNIS Advanced滴定装置およびdPt Titrodeを付属したDis-Cover機能付きのOMNISサンプルロボットSで構成された自動システム(図1)で行います。
適度な量のサンプルに対して、混合溶媒と補助溶液が自動で添加され、1分間撹拌されて反応が完了します。これに純水を添加して、当量点を過ぎるまでサンプルを滴定溶液で滴定します。
分析の結果、SD(rel) < 2%という良好な結果と明瞭な滴定曲線が得られました。測定結果と滴定曲線の例をそれぞれ表1と図2に示します。
表1 自動OMNISシステム (n = 5) で測定した、菜種油とオリーブ油の過酸化物価平均値
菜種油 | オリーブ油 | |
---|---|---|
過酸化物価 mq O2/kg | 1.9 | 6.4 |
SD(rel) in % | 1.05 | 0.86 |
滴定は、様々な国際標準に従って食用油の過酸化 物価を、正確に測定できる信頼できるメソッドです。
Dis-Cover機能を搭載したOMNISサンプルロボットを利用すれば、最大4つのサンプルが同時に全自動で測定できるため、測定者の貴重な時間が節約できて、ラボの生産性が向上します。OMNISシステムは、お客様のニーズに応じてシステムをカスタマイズすることができ、酸価やヨウ素価など、食用油の必要な滴定アプリケーション向けに拡張することが可能です。
Internal reference: AW TI CH1-1277-062019