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リチウムイオン電池市場は、携帯型電子機器、電気自動車、その他電池を電源とする消費者向け製品などの多大な需要により、継続的に成長しています。これらの電池の品質は、主要部品(正極、負極、スラリー、セパレーターなど)の改良によって絶えず向上しています。

ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)の酸化物の混合物である、いわゆる「NCM」が正極材料として注目を集めています。これらの材料は、従来のリチウムイオン電池に使用されてきたコバルト酸化物に代わるものです。焼結後の材料やリサイクル電池の品質分析は、このアプリケーションノートで実証されているように、滴定によって行うことができます。金属類の完全自動滴定分析は、OMNISとそのピペッティング装備を用いて行うことができます。この目的のために必要なことは、少量のサンプルが滴定ビーカーに正確に分取されることだけです。

この手法は、Ni、Co、Mnイオン標準物質の混合物を用いて実証されました。

金属の定量には、3回の滴定を行います。最初の滴定では、金属イオンの配位子として過剰のEDTAを、滴定液として硫酸銅(II)を用い、アルカリ性緩衝液中でキレート滴定を行い、全金属含有量を分析します。電極はCu-ISEを使用します。

NiとCoは、同じキレート滴定で測定できますが弱酸性下で滴定します。MnとCoの定量は、電極に白金リング電極、滴定液にヘキサシアノ鉄 酸カリウム(K3[Fe(CN)6])を用い、アルカリ性下で滴定を行います。これらの滴定により、Ni、Co、Mnの各金属含有量を差し引きにより計算することができます。

2 つの Pick&Place モジュールで分析することも可能ですが、3 つの Pick&Place モジュールを備えたシステムを使用すると、サンプル処理能力が向上します。

図1. リチウムイオン電池正極材料中の NCM を完全に自動測定するための典型的な OMNIS システム

分析結果は良好で、明確な滴定曲線が得られました。分析結果と滴定曲線の一例をそれぞれ表1と図2に示します。

表1。 リチウムイオン電池の正極材料中の Ni、Co、Mn の金属含有量の分析結果
検体 回収率 (%) SD(相対) (%)
Ni 100.66 0.38
Co 101.56 1.10
Mn 97.68 2.29
図2. 錯分法によって測定されたカソード材料中の総金属含有量の滴定曲線の例

OMNIS自動ピペッティングシステムを使用すれば、わずかなサンプル量( 1 mL以下)で迅速かつ正確にNCMを分析できます。この手法は単一元素だけでなく、ニッケル、コバルト、マンガンからなる混合サンプルにも使用できます。

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内部参照: AW TI-CH1-1313-082020