導電性カーボンブラックは、最新のリチウムイオン電池に不可欠な添加剤です。正極の成分として使用され、導電性の化学構造を形成することで、非導電性材料(リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト酸化物など)が互いに、また集電体に電気的に接続されるようにします。導電性カーボンブラックがなければ電流は流れず、電池セルは機能しません。そのため、カーボンブラックの特性と品質を確認することが不可欠です。この点で、pH値はチェックしやすいパラメータの筆頭に挙げられます。
しかし、正しいpH値を測定するためには、測定方法と測定機器の両方が最高の品質基準を満たしていなければなりません。
この技術資料では、ASTM D1512およびISO 787-9、GB/T 1717に準拠したpH電極を装備した913 pHメーターを使用して、カーボンブラック中のpH値を正確かつ確実に分析します。
このアプリケーションは、導電性添加剤のカソード材料として使用されるカーボンブラックで実証されています。
サンプルの前処理は必要ありません。
pH値は、校正済みのUnitrode easy Cleanを接続した 913pHメーターを用いて測定されます(図1および2)
カソードスラリーを作成するために、適切な量のサンプル秤量し、ビーカーに入れ、脱イオン水と湿潤剤としての有機溶媒(規格による)を添加します。その後、カソードスラリーのpHを測定します。
表1と表2に示すように、この方法は非常に正確な結果をもたらします。
表1. ASTM D1512に従ったカーボンブラックのpH測定結果(n = 6)
サンプル (n = 6) | pH 値 | 温度 ℃ |
---|---|---|
平均 | 8.62 | 24.3 |
SD (abs) | 0.01 | 0.1 |
SD (rel) (単位 %) | 0.1 | 0.2 |
表2. ISO 787-9 および GB/T 1717 に従ったカーボンブラックの pH 測定結果(n = 6)
サンプル (n = 6) | pH 値 | 温度 ℃ |
---|---|---|
平均 | 8.00 | 24.9 |
SD(abs) | 0.02 | 0.1 |
SD(rel) (値 %) | 0.2 | 0.3 |