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PVC(ポリ塩化ビニル)は、その化学構造に炭素と水素原子のみを含む他のオレフィン由来プラスチックと比較した場合、ユニークな特性を有しています。PVCの特徴の中には、化学的および機械的安定性の向上、ならびに難燃特性があります。高分子の分子量がこれらの特性に大きく影響します。分子量はここではポリマーを構成する分子の平均重量として定義され、この値はポリマー鎖の長さの目安となります。PVCの品質を監視するためには、生産プロセス中の分子量を測定することが重要です。PVC分子量を決定する標準的な方法はサイズ排他クロマトグラフィー(SEC)によります。この分析方法は多くの時間を必要であり、訓練を受けた担当者が実施する必要があります。

PVCの分子量は近赤外分光法(NIRS)を用いると容易に決定できます。NIRSはわずか数秒で測定を完了するため、生産工程の調整がいつ必要かを迅速に示すことができます。

DS2500 Solid アナライザ
図1. DS2500 Solid アナライザ

分子量を113000~192000g/molの範囲で変化させたPVC試料33サンプルをDS2500 Solidアナライザで測定しました。メトローム社のソフトウェアパッケージVision Air Completeを用いてデータ取得および検量線モデル開発を行いました。

表1. ハードウェアおよびソフトウェア装置の概要
装置 番号
NIRS DS2500 Solid アナライザ 2.922.0010
Vision Air 2.0 Complete 6.6072.208
NIRS ラージサンプルカップ 6.7402.050

測定した33サンプルのVis-NIRスペクトル(Fig.2(Link))すべてを用いて、分子量の検量線モデルを作成しました。その結果はクロスバリデーションにより評価を行い、Vis-NIR予測値と従来分析値の間に非常に高い相関を示しました。それぞれの統計値はルーチン分析におけるNIRS予測の精度を示します(図3)。

図2. DS2500 Solidアナライザで測定した異なる分子量のPVCのVis-NIRスペクトル。
図3. DS2500 Solidアナライザを用いたPVCの分子量予測の相関図と各統計値
Table 2. DS2500 Solid アナライザを使用した PVC 顆粒サンプルの分子量予測の性能指数。
Figures of merit Value
R2 0.988
Standard error of calibration 3640 g/mol
Standard error of cross-validation 5375 g/mol

このアプリケーションノートでは、NIR分光法によるPVC試料中の分子量分析の実現可能性を示唆しています。NIRを用いたPVCの分子量分析は、従来分析値との誤差が平均1.5%となり良好な結果が得られました。Vis-NIR分光法は試料調製を必要とせず、迅速な定量分析を可能にし、PVC分子量を測定する適切な方法といえます。

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