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飲用に適した状態にするためにコーヒー生豆を焙煎する必要がありますが、コーヒー生豆の成分を分析して把握することでロースターの設定が可能となるため倉庫の管理状況を改善できます。分析した成分値を基に入荷したロットの使用する順序を決定して、よりエネルギー効率を高められます。しかしながら、従来の分析方法を使用する場合には必要な時間や労力、複雑なワークフローが効率を下げてしまいます。

近赤外分光法(NIRS)は、コーヒーの生豆の密度や水分活性、水分量の分析に適した分析法です。化学物質も試料の前処理も必要とせず、NIRSを倉庫やロースターの近く、分析室のどこでも容易に使用することができます。

最大31サンプルのコーヒー生豆をミニサンプルカップに入れ、メトローム社製DS2500 Solidアナライザにセットして分析しました(Fig.1)。拡散反射モードでの測定で、データ取得および予測モデル開発はソフトウェアパッケージVision Air Complete(Table 1)を用いました。

密度、水分活性、水分含量の値をそれぞれの従来法で分析しました。水分活性分析はISO18787、水分含量はISO6673に従って測定し、密度はPrecisa製の密度測定セットで測定しました。

表1  装置およびソフトウェア機器の概要。

装置 製品番号
DS2500 Solid アナライザー 2.922.0010
DS2500 ホルダー 6.7430.040
NIRSミニサンプルカップ 6.7402.030
Vison Air 2.0 コンプリート 6.6072.208
Figure 1. メトローム社製DS2500 Solidアナライザとコーヒー生豆の入ったミニサンプルカップ

得られたVis-NIRスペクトル(Fig. 2)を用いて、3種の成分の検量線モデルを作成しました。検量線モデルの検証のために、水分活性と水分についてのデータセットを検量線モデル作成用セットと評価用セットに分割しました。密度については、リーブワンアウトのクロスバリデーションを行いました。Vis-NIRによる予測と従来法値との関係を示す相関図を、それぞれの統計値(Figure of Merit, FOM)と共に図3~5に示します。

Figure 2. 生コーヒー豆サンプルの Vis-NIR スペクトルの選択。DS2500 Solid Analyzer を使用してデータを取得しました。視覚化のためにスペクトルオフセットが適用されました。
Figure 3. 密度の検量線モデルの相関図および統計値
Figure 4. 水分活性の検量線モデルの相関図および統計値
Figure 5. 水分の検量線モデルの相関図および統計値

本アプリケーションノートでは近赤外光法によるコーヒー生豆の密度や水分活性、水分量の定量分析の可能性を示しました。近赤外光法を用いることで、いかなる化学物質も使用することなく、複数のパラメータを数十秒で分析することができます。

これらのパラメータを基にした貯蔵状態から焙煎する生豆を選択することで倉庫管理を改善します。さらに、焙煎設定を最適化することで、エネルギー効率を高めるだけでなく製品の一貫性を高めることにもつながります。

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