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焙煎されたコーヒー豆を連続的に分析することで焙煎状況の改善やエネルギー効率の向上により、より安定した最終製品につなげることができます。焙煎度合いは風味に影響するだけでなく、カフェイン含有量にも影響があります。一般的にカフェイン濃度の測定には、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で分析しますが、この手法は分析技術や化学試薬が必要で、結果が出るまでに多くの時間を必要とします。


これに対し、本記事で取り上げる近赤外分光法(NIRS)では、ローストしたコーヒー豆や粉砕したコーヒー中のカフェイン、水分活性、水分を一切、化学薬品を使わずに迅速に分析することができます。NIRSによる分析はサンプルの前処理も必要なく、操作も簡単です。本記事で紹介する分析装置は、焙煎機の近くや品質管理ラボに置き分析することができます。

焙煎・粉砕したコーヒーサンプルを35点用意して、メトローム社製DS2500 Solidアナライザにて測定しました。各サンプルをミニサンプルカップに入れ、装置本体にセットして拡散反射モードで測定しました(Fig. 1)。測定と検量線モデルの開発はVision Air Completeソフトウェアを使用しました(Table 1)。
参照したカフェイン、水分活性、水分の値は一般的な手法で分析しました。カフェイン分析はISO20481に従いイオンクロマトグラフィ(IC)にて分析し、水分活性測定はISO 18787、水分測定はDIN 10772-1に準拠した分析を行いました。

Table 1. ハードウェア、ソフトウェアの概要

名称 製品番号
DS2500 アナライザ 2.922.0010
DS2500 ホルダー 6.7430.040
NIRS ミニサンプルカップ 6.7402.030
Vision Air 2.0 Complete 6.6072.208
Figure 1. メトローム社製DS2500 Solidアナライザと粉砕されたローストコーヒーの入ったミニサンプルカップ

得られたVis-NIRスペクトル(Fig. 2)を用いて、それぞれのパラメータの検量線モデルを作成しました。Vis-NIRによる予測値と参照値の関係を示す相関プロットと、それぞれの統計値(Figure of Merit,FOM)を図3~5に示します。

Figure 2. DS2500 Solidで測定したローストコーヒー粉砕サンプルのVis-NIRスペクトル(スペクトルオフセット済み)
Figure 3. DS2500 Solidアナライザを用いたローストコーヒーサンプル中のカフェインに関する相関図とそれぞれのFOM(ラボ値はISO 20481に従い、イオンクロマトグラフィーで分析した)
Figure 4. DS2500 Solidアナライザを用いたローストコーヒーサンプルの水分活性に関する相関図とそれぞれのFOM(ラボ値はISO 18787に 従い、分析した)
Figure 5. DS2500 Solidアナライザを用いたローストコーヒーサンプルの水分に関する相関図とそれぞれのFOM(ラボ値はDIN 10772-1に従 い、分析した)

本アプリケーションノートでは、近赤外分光法による粉砕したローストコーヒーの品質パラメータ3種類の定量分析を紹介しました。NIRSでは1台の分析装置で、水分活性と水分、カフェイン濃度(0.1~2.5wt%)を1回の測定で分析することができます。その測定は1分以内に終わるという迅速さだけでなく、化学試薬も使わない安全性も高い分析手法です。従来の分析法(Table 2)と比較すると、NIRSを使用することによる時間節約のメリットが大きいことがわかりま

Table 2. コーヒーの従来分析法一覧

パラメーター 分析手法 分析時間
カフェイン IC システム (ISO 20481) 120 分 (試料調製、測定)
水分活性 水分活性測定システム (ISO 18787) 15–30 分
水分 オーブン – 乾燥減量 (DIN 10772-1) 13 時間 (試料調整、測定)
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メトロームジャパン株式会社

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