食料品の糖代替としてのゼロカロリー甘味料の使用は、ここ 10 年間でソフトドリンクやスナックなどで劇的に増加しました。その 2 つの例としては、ステビア・レバウジアナ植物の葉に由来するステビア、ハロゲン化スクロース誘導体のスクラロースがあります。どちらも砂糖よりもはるかに甘味があり、食品中ではずっと低い濃度で使用されています。一方、食の安全を確保するため、ゼロカロリー(無栄養性)の甘味料に対する規制が厳しくなってきています。この規制に対応するため、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、イオンクロマトグラフィ、および薄層クロマトグラフィを用いて、種々の甘味料の測定が可能ですが、しかし、これらの測定方法は時間がかかり、高いランニングコストがかかります。近赤外分析法(NIRS)を用いると、化学物質の使用なしで、サンプル前処理も不要ですので、数種の甘味料を1分以下で同時定量することが可能となります。
ショ糖(95%)中のステビア(0.5~4.5%)とスクラロース(0.5~4.5%)の混合サンプルを調製し、NIR分析で定量するための検量線モデル検討を行いました。
混合サンプルは15mm直径の使い捨てバイアル入れ、 DS2500ホルダーとDS2500アイリスを用いてメトローム社 DS2500ソリッドアナライザー(図1)で拡散反射モードで測定しました。NIRスペクトル測定と検量線モデル計算にはVision Airコンプリ―トソフトウエアを用いました。
表1:ハードウェアおよびソフトウェア機器の概要
機器 | 製品番号 |
---|---|
DS2500 ソリッドアナライザー | 2.922.0010 |
DS2500 アイリス | 6.7425.100 |
使い捨てバイアル, 15 mm | 6.7402.110 |
Vision Air 2.0 コンプリート | 6.6072.208 |
測定した全てのVis-NIRスペクトル(図2)を用いて、ショ糖中のスクラロースおよびステビアの定量用の検量線モデルを検討しました。検量線モデルは、下記相関図のようにNIR予測値と従来分析値の間に非常に高い相関が得られました。それぞれの統計値(FOM)は、従来分析時のNIR検量線モデルの予測精度を示しています(図3-4)。
Figures of Merit | Value |
---|---|
R2 | 0.9854 |
Standard Error of Calibration |
0.1898% |
Standard Error of Cross-Validation | 0.1997% |
Figures of Merit | Value |
---|---|
R2 | 0.9885 |
Standard Error of Calibration |
0.1500% |
Standard Error of Cross-Validation | 0.1997% |
本アプリケーションノートは、ショ糖混合物中のゼロカロリー甘味料のスクラロース及びステビアの含量を高精度で高速かつ費用対効果の高い測定がNIR分析法によって測定可能なことを示しており、これによってNIR分析法が他の標準的な従来の分析法(表2)に代わる効率的な分析手法になりうるということを示しています。
表2. 本検討で用いたゼロカロリー甘味料を測定する従来分析法の概算時間
パラメーター | 分析手法 | 結果を得られるまでの時間 |
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ステビア | HPLC | ∼5 min (準備) + ∼40 min (HPLC) |
スクラロース | HPLC | ∼5 min (準備) + ∼40 min (HPLC) |
Internal reference: AW NIR AE10-0002-072021