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スクロース、グルコース、フルクトースは一般的な糖ですが、体内で異なる方法で吸収されます。これらの糖は少しずつ異なる効果を持っていますが、食品中に自然に存在するか、加工段階で追加されるかによって私たちの健康への影響が決まります。それぞれの糖の量と Brixの測定は食品業界における重要な品質パラメータです。

各糖の含有量は、高速液体クロマトグラフィー (HPLC)、イオンクロマトグラフィー (IC)、薄層クロマトグラフィー (TLC) にて測定できます。しかしながら、これらの方法は時間がかかり、ランニングコストが高くなる傾向があります。一方、近赤外分光法 (NIRS) で測定すれば、化学薬品の使用やサンプル前処理なしで1分以内に多くの糖を同時に分析できます。

グルコース、フルクトース、スクロースの水溶液を計50検体用意して定量分析のための検量線モデルを作成しました。すべてのサンプルをメトローム社製NIRS DS2500 Liquidアナライザ (400 ~ 2500 nm、図 1) で、光路長1mmのフローセルを使用して透過モードで測定しました。

スペクトルの取得と検量線モデルの開発は、メトローム社製のVision Air Complete ソフトウェアパッケージを使用しました。

表1.  使用した分析装置およびソフトウェア

装置 製品番号
DS2500 Liquid アナライザ 2.929.0010
DS2500 フローセルホルダー
6.7493.000
NIRS 石英製フローセル 光路長1 mm 6.7401.310
Vision Air 2.0 Complete 6.6072.208
Figure 1. メトローム社製 NIRS DS2500 Liquid アナライザ

得られた Vis-NIR スペクトル (Fig. 2) を使用して、グルコース、フルクトース、スクロース、Brixの定量分析のための検量線モデルを作成しました。検量線モデルはVis-NIR 予測値と従来法分析値の間の相関性と予測精度の統計値 (Figure Of Merit, FOM) で評価します (Fig. 3~6)。

Figure 2. DS2500 Liquidアナライザで測定したグルコース、フルクトース、およびスクロースの水溶液の Vis-NIRスペクトル
Figure 3. フルクトース含有量の検量線モデルの相関図とそれぞれの統計値
項目
R2 0.9882
校正の標準誤差 SEC 0.04%
交差検証の標準誤差 SECV 0.06%
検証の標準誤差 SEP 0.05%
Figure 4. グルコース含有量の検量線モデルの相関図とそれぞれの統計値
項目
R2 0.9877
校正の標準誤差 SEC 0.11%
交差検証の標準誤差 SECV 0.12%
検証の標準誤差 SEP 0.10%
Figure 5. スクロース含有量の検量線モデルの相関図とそれぞれの統計値
項目
R2 0.9886
校正の標準誤差 SEC 0.16%
交差検証の標準誤差 SECV 0.16%
検証の標準誤差 SEP 0.13%
Figure 6. Brixの検量線モデルの相関図とそれぞれの統計値(ラボ値は屈折計にて測定)
項目
R2 0.9988
校正の標準誤差 SEC 0.13 (°Brix)
交差検証の標準誤差 SECV 0.15 (°Brix)
検証の標準誤差 SEP 0.09(°Brix)

この技術資料では、近赤外分析計による水性サンプル中のグルコース、フルクトース、スクロース、Brixの測定を紹介しています。Vis-NIR分光法は、他の標準的な分析方法に代わる、より速く、より簡単で、正確な分析手法です (Table 2)。

表 2. 従来分析法一覧

パラメータ メソッド 結果が出るまでの時間
ブドウ糖、果糖、ショ糖 HPLC ~5 分 (準備) + ~40 分 (HPLC)
Brix 屈折計 〜1分
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