米国司法省によると、2007 年から 2009 年にかけて、州刑務所の受刑者の半数以上、約 3 分の 2 近くの受刑者が薬物依存または乱用の正式な基準を満たしました。しかし、薬物はどのようにして刑務所に持ち込まれるのでしょうか。それらは、体腔内、赤ちゃんのオムツ、聖書、そしてもちろん郵便物の中に入れられて不法に持ち込まれます。ヘロイン、MDMA、LSD、フェンタニルの濃縮溶液で文房具に細工をすれば、薬物がしみ込んだ手紙を簡単に受刑者に渡すことができます。刑務所の郵便物に含まれる麻薬に対策するために、何百万ドルもシステムの再構築に費やされていて問題になっています。郵便物全てをデジタル化することは一つの解決策ではあるものの、時間と人手がかかり、有害な郵便物がデジタイザーを汚染し、また受刑者の権利を侵害する可能性があります。これは単純に郵便物のデジタル化というだけでも複雑な問題ですが、フェンタニルによってさらに複雑になります。フェンタニルが混入した郵便物を取り扱う人は、微量のフェンタニルに触れただけで中毒症状を起こす可能性があり、フェンタニルの過剰摂取による死亡は刑務所内で問題になっています。

そのため、理想的なソリューションは、迅速、正確、かつ効率的に、受領の時点で紙の上に薬物があるかどうかを検査できる検出システムです。

メトロームのラマン分光計は、MISA と MIRA XTR DS の両システムで、オピオイド、コカイン、MDMA、フェンタニルを現場で瞬時に検出できる優れた微量検出のソリューションを提供しています。この Application Note では、紙上でのフェンタニルの微量検出について解説しています。

SERS機能を備えたラマンシステムを使用して、フェンタニルの確実なオンサイト同定を提供できます。このアプリケーションノートは、フェンタニルに浸した紙のラマン分析を示し、紙上のフェンタニルのSERS検出範囲とフェンタニル同定の実例を紹介しています。

フェンタニル濃度5μg/0.635cm²のノート用紙を直接ポイントアンドシュート分析すると、 綿と紙といった基板材料のスペクトルが得られます（図1）。トレース分析のアプリケーションにこのような通常のラマンのみを使用する場合、フェンタニルが検出できませんが、ラマンとSERSのデュアル機能を備えたメトロームのMIRAおよびMISAでは正確な検出が可能です。

違法な麻薬が混入した手紙のSERS検出を実証するために、この実験は、まず0.635 cm（0.25インチ）の正方形にカットしたノートの用紙を準備します。メタノール中のフェンタニル濃度0.1mg/ mLの溶液を調製し、カットしたノート片に次の容量でフェンタニルを含有させました：0.635cm²あたり0.1μg、0.5μg、1μg、2μg、5μg（滴下量： 1μL、5μL、10μL、20μL、50μL）。各正方形の用紙を乾燥させ、500μLの銀ナノ粒子コロイドを入れたガラスバイアルに入れました。このバイアルに蓋をして、振り混ぜ、十分に抽出するために5分間置きました。塩化ナトリウム水溶液（0.9％100μL）を加え、バイアルを穏やかに振り混ぜて混合しました。1分間静置後、MIRA XTR DSのIDキットOPで測定し、図2のスペクトルが得られました。

結果は図２のようになりました。

メトロームラマンのラマン測定とSERS測定の両方が可能なMISAおよびMIRAは、刑務所においてフェンタニルが混入した郵便を迅速に検出するといった実際の問題のソリューションとなります。簡易に麻薬を検出し、時間、コスト、工数を削減するだけでなく、致命的な薬物への曝露といった危険性も減らすことが可能です。

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