水銀は毒性のある重金属です。水銀を使用する際、健康と環境を守るためにいくつかの守るべき点があります。
水銀使用における循環モデル
- 健康と安全を最優先
- 水銀は100%完全回収
- 環境保全
健康と安全を最優先
MME電極で使用する水銀は、閉鎖系の環境になっています。測定や電極メンテナンスの際に直接触れる可能性があります。
以下のことに注意することにより水銀を安全に取り扱えます:
- 水銀を取り扱う上で最も重要なこと:水銀蒸気を吸い込まないこと!
- 水銀は常に密閉できる容器で保管する。 絶対に水銀を開放系の容器内に残しておかないでください。水銀表層に水や電解質が覆っていても水銀の蒸発は抑制されません。しっかりと閉じて、小さな、割れない容器に水銀を入れておき、その他の水銀が接触した部品も全て、常にオンになっているドラフトチャンバー内で保管する必要があります。
- ドラフトチャンバー内で作業する。Working in a fume cupboard. 開封状態の水銀容器(例;MME電極やMME電極proのメンテナンス時)の取扱いは、常にドラフトチャンバー内で行う必要があります。
- プラスチックトレイの中で作業する。水銀の入った容器は、プラスチック製かホーロー製のトレイに入れるか載せて運びます。メトロームでは、この用途としてポリスチレン製のドリップトレイ(6.2711.030)の利用をお勧めしています。
- こぼれた水銀の粒は回収する。ドリップパンに落ちた水銀の粒は、アマルガム化させることより簡単にくっつけて回収できます:
- 銀 (Ag) を利用する場合:797VAコンピュートレースの標準付属品に水銀ドロップキャッチャー (6.2406.000)があります。
- スズ (Sn) を利用する場合:メルク社、シグマアルドリッチ社などの試薬メーカーより薄スズ製のホイルが販売されています。
- ラボ用の専用製品:一例として、Chemizorb® Hg (www.merckmillipore.com)、Mercsorb® mercury spill kit (www.sigmaaldrich.com) 、Mercurisorb-ROTH® (www.carlroth.com) などがあります。掃除機やほうきは絶対に使用しないでください!
- ラボをよく換気する。水銀を使用している部屋ではこまめに換気を充分にしてください。
- 一人ひとり保護用具を使用する
- 手袋(グローブ):通常のラボ用グローブは水銀の取り扱いには不向きです。あらゆる種類の水銀と水銀化合物から手を保護するためには、カテゴリー II またはカテゴリー III (EN374) の 厚さ0.11mmでニトリルラバー製化学保護手袋等を使用してください。
- 保護眼鏡
- 白衣
- 適切な衛生対策:水銀を使用後は手を洗う。水銀を使用している場所で飲食、喫煙を行わない。皮膚保護クリームを使用する。水銀が付いたら着ているものをすぐに交換する
水銀は100%完全回収
重要:各行政が処理している産業廃棄物として水銀の廃棄を絶対にしないでください!
水銀の回収
MME電極を使用した場合、水銀は測定容器の底部に溜まってきますので、後で回収する必要があります。
これは、大きな容器内に分析溶液を溜めておいて、それを空にする際に回収できます。水銀ドロップキャッチャー (6.2406.000) や上澄み液だけを注ぎ出すことにより水銀だけを専用水銀回収容器へ回収できます。
水銀ドロップキャッチャーの専用水銀回収容器は、定期的に空にして徹底的に繰り返し洗浄してください。水銀ドロップキャッチャーをドラフトチャンバー外で使用する場合は、顔と容器の間は50cm以上離して取り扱ってください。
注意:トレース分析を行っている場合、水銀ドロップキャッチャーでVAの測定容器から直接水銀を回収しないでください!
使用済み水銀の処理方法
水銀は精製させることができます。しかし、これは大規模なラボと設備と多くの時間がかかります。このため、密閉容器内の使用済水銀は、各国の規則に従い、担当局または認定会社へ廃棄処理またはリサイクル依頼をされることをお勧めします。
各ラボより使用済み水銀の処理依頼先:
- 蛍光灯水銀のリサイクルを行う法人
- 蛍光灯水銀のリサイクルを行う法人
- 蛍光灯水銀のリサイクルを行う法人