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Q36:溶離液を違う組成の溶離液に変更したいのですが?

A36:配管内を純水に置換した後,新しい溶離液を流して下さい。

同じような溶離液を用いる場合には,特別な対応は不必要です。例えば,1.8 mM Na2CO3 + 1.7 mM NaHCO3 から3.6 mM Na2CO3 に変更する場合や,5 mM硝酸から3.5 mM硝酸に変更する場合は,配管洗浄は不要です。しかし,陰イオン分析用溶離液から陽イオン分析用溶離液,あるいはその逆や,ジピコリン酸を含んだ溶離液からジピコリン酸を含まない溶離液へ変更する場合には,それぞれの溶液が混ざらないように配管洗浄を行う必要があります。次の手順に従って行って下さい。

まず,分離カラム (サプレッサーも使用していればサプレッサーも) を取り外して下さい。純水を1 mL/minで15〜30分通液した後,新しい溶離液を15〜30分通液して下さい。この時,抵抗管を取り付けて,検出器セルまで置換するようにしたほうが好ましいです。抵抗管を使用しない場合には,分離カラム接続部からの廃液をビーカー等で受けるようにして下さい。その後,新しい目的の分離カラムを取り付け,溶離液を送液して下さい。

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Q37:粉末の試薬から標準溶液を調製する場合,どのようにして調製するのですか?

A37:目的イオンの塩で,純度が確定している試薬特級以上の等級の試薬を用意し,既定の条件で乾燥後,純水に溶解して調製します。
基本的に,陰イオンはナトリウム塩を,陽イオンは塩化物 (場合によっては硝酸塩) を選択します。重金属塩や硫酸塩を用いると,標準液混合後に不溶性の塩が析出してしまう恐れがあります。例えば,塩化物イオンの標準溶液を調製するには塩化ナトリウムを使用します。一般に,ナトリウム塩は,純度が高く,安定で,かつ入手が容易ですので,ナトリウム塩を入手するようにして下さい。

粉末の試薬は水分を含んでいる可能性があるため,乾燥したものを秤量するようにして下さい。試薬の乾燥条件は,JIS K 8001試薬試験方法通則に規定されています。代表的な方法は,105°C程度で1〜2時間加熱し,デシケータに移して放冷後,秤量するという方法です。実際の採取方法に関しては,イオンクロマトグラフィ関連の成書等に記載されていますのでそれらを参考にして下さい。

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Q38:調製した希釈標準溶液は,どのような容器に入れたら良いですか ?

A38:十分洗浄した樹脂製の容器に入れて下さい。
希釈標準液は十分に洗浄した不活性な材質の容器に入れて下さい。

基本的に測定用の希釈標準液は使用時に調製するものであり長期保管はしませんので,容器材質の影響はあまりありません。しかし,ppb (µg/L) レベルの濃度では容器からの溶出成分による汚染が問題となることがあります。

ガラス製の容器からはナトリウムイオン,ホウ酸イオン等の溶出が起こります。またフッ素樹脂からはフッ化物イオンが溶出します。従って,測定対象にあわせた材質の容器を選択する必要があります。一般に,樹脂製容器からのイオン成分の溶出は少ないとされていますので,特に低濃度の分析を行う場合にはポリプロピレン (PP) 製や高密度ポリエチレン (HDPE) 製の容器を使用することをおすすめします。

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Q39:イオンクロマトグラフに注入してはいけないものは何ですか?

A39:イオンクロマトグラフの基本的な測定対象は水系溶液ですので,固体や気体を直接注入することはできません。また,分離カラムや装置を傷める恐れのあるものも注入することはできません。
基本的にイオンクロマトの測定対象は水系溶液です。
固体試料中のイオンを測定する場合には,溶解や抽出等などの前処理を行い水溶液とした後に注入して下さい。この場合,アルコールやアセトニトリル等の極性有機溶媒を含んでいても注入可能ですが、有機溶媒量に関しては分離カラムの取扱説明書を参照して下さい。

気体中のイオンを測定する場合には,インピンジャー,ガス吸収瓶等を用いてイオン性成分を水あるいは適切な吸収液に吸収させた後,試料溶液として下さい。
上記の他,多価電解質や疎水性化合物等の分離カラムに強く吸着する成分,酸化剤や還元剤等のカラム充填剤や接液部材質を傷めるもの等も注入することはできません。
以下に,主なイオンクロマトグラフに注入してはいけないものを書き出しました。

・固体 (粉体)
分離カラムやインジェクタを目詰まりさせる恐れがあります

・溶離液中で析出するもの
例えば,金属イオンは塩基性溶離液中で水酸化物として沈殿します。また,タンパクはpHや塩濃度の変化により変性・沈殿します。これらは,分離カラムの目詰まりや分離能力低下をもたらす恐れがあります

・分離カラムに強く吸着するもの
多価電解質,疎水性物質,高分子化合物等は分離カラムに吸着して,カラム性能を低下させる恐れがあります。

・分離カラムや装置を傷めるもの
強い酸や塩基,一部の有機溶媒,酸化剤,還元剤等はカラム充填剤や接液部材質を傷める恐れがあります。これらは,その濃度や分離条件によっては注入可能な場合もありますので,メーカー等にお問い合わせ下さい。

・高濃度の塩を含むもの
目的成分の分離や検出を妨害する恐れがあります。また,インジェクタや配管内で塩析する恐れもあります。

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Q40:バックグランド電気伝導度が高いままで下がりません。どうすれば良いですか?

A40:まず溶離液濃度及び送液流量を確認して下さい。
バックグランド電気伝導度が高いまま下がってこない原因としては,溶離液濃度が高い,溶離液が流れていない,サプレッサ再生液が流れていない,サプレッサーの劣化,電気伝導度検出器の電気系の故障等が考えられます。このような現象が起きた場合には,以下の項目をご確認下さい。

①溶離液,再生液,洗浄液の廃液が出ているか
同時に,溶離液等の流量が設定通り流れているかも確認して下さい。

②溶離液の濃度は正しく調整されているか
溶離液,再生液及び洗浄液が正しく送液されている場合,溶離液の濃度が異なっている可能性があります。溶離液を再度調製して確認して下さい。

③サプレッサーが正しく再生されているか
陰イオン分析の場合は,サプレッサーの再生液,洗浄液が送液されているかの確認してください。再生液もしくは洗浄液が送液されていないと,サプレッサー内のイオン交換樹脂の再生・洗浄不足によりバックグラウンドが下がらない状態になります。
正しく送液されていない場合は,ペリスタリックポンプのチューブの劣化やフィルターの詰まりの可能性がありますので,これらの部品を交換して下さい。
正しく送液されている場合は,まず手動でサプレッサーを切り替えて下さい。切り替えを行ってもバックグラウンドが高い状態が続く場合は,再生液と洗浄液のラインが逆にセットされている可能性があります。配管を確認して下さい。

上記項目を確認しても問題が解決しない場合には,メーカーにお問い合わせして下さい。

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