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Q46:分離カラムを逆に接続してしまいました。大丈夫ですか?

A46:速やかに送液を止め,正規の方向に流して下さい。

一般に,分離カラムには「Flow→」のようなマーク (シール) が付けられており,この矢印の方向に従って送液します。通常,この矢印に示された方向は充填剤を充填した方向ですので,この方向の流れに対して安定な充填状態が作られていると考えられます。

逆方向に流したからといっても,高流量で流さなければ急激にカラム性能が低下するということはありません。しかし,逆方向で使用し続けていると,正規の方向で使用している時に比べてカラム性能の低下が短期に生じてしまう恐れがあります。
正規の方向で使用するということは,カラム性能を維持するということにもなります。

分離カラムを逆に接続して送液をしてしまった場合には,速やかに正規の方向に付け直し,標準液の測定を行ってカラム性能の変化がないことを確認して下さい。

尚,分離カラム入口のカラムフィルタが目詰まりした場合には,逆流しによって目詰まりの解消を行わなければならないことがあります。但し,この操作を行う場合には溶離液流量を通常分析時の半分にして行って下さい。

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Q47:装置を陰イオン分析から陽イオン分析に変更したいのですが?

A47:陽イオン分析への変更は,下記に示す手順で行って下さい。
陰イオン分析と陽イオン分析では用いる溶離液が異なります。陰イオン分析ではナトリウムイオンを含む溶離液を用いますので,陽イオン分析用の分離カラムに陰イオン分析用の溶離液が入ってしまうと,ナトリウムイオンの汚染が生じてしまいます。そのため,流路やインジェクタ等を純水で十分に洗浄した後変更する必要があります。

陰イオン分析から陽イオン分析に変更するには,下記に示す手順で行って下さい。

①陰イオン分析用分離カラムの取外し
陰イオン分析用分離カラムを取り外し,分離カラム入口側の配管と検出器入口の配管とをユニオンを用いて接続させて,陽イオン分析用の流路に切り替えます。

※ 陽イオン分析ではサプレッサーは使用しませんので,サプレッサーは接続しないで下さい。

②純水での洗浄・置換
陽イオン分析用の溶離液を流す前に,溶離液が流れる配管を純水で洗浄・置換します。完全に純水で置換されると,電気伝導度が2 µS/cm以下に下がります。

③陽イオン分析用の溶離液での置換
陽イオン分析用の溶離液を流して溶離液が流れる配管を置換します。十分に置換されたかは,電気伝導度の値で確認して下さい。使用する分離カラムや溶離液により,バックグラウンド電気伝導度の値は変わります。

④陽イオン分析用分離カラムの取り付け
ポンプの流量を0.3 mL/minに下げ,陽イオン分析用の分離カラムを取り付けて下さい。ベースラインが安定したら測定可能です。

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Q48:装置を陽イオン分析から陰イオン分析に変更したいのですが?

A48:陰イオン分析への変更は,下記に示す手順で行って下さい。
陽イオン分析と陰イオン分析では用いる溶離液が異なります。陽イオン分析では硝酸イオンや有機酸イオンを含む溶離液を用いますので,陰イオン分析用の分離カラムに陽イオン分析用の溶離液が入ってしまうと,これらのイオンの汚染が生じてしまいます。そのため,流路やインジェクタ等を純水で十分に洗浄した後変更する必要があります。

陽イオン分析から陰イオン分析に変更するには,下記に示す手順で行って下さい。

①陽イオン分析用分離カラムの取外し
陽イオン分析用分離カラムを取り外し,分離カラム入口側の配管にユニオンを用いて廃液用の配管を取り付けます。廃液用の配管の出口はビーカー等に入れて,廃液を受けるようにして下さい。

②純水での洗浄・置換
陰イオン分析用の溶離液を流す前に,溶離液が流れる配管を純水で洗浄・置換します。この時,純水は20 mL程度送液して下さい。ついで,廃液用の配管を取り外し,分離カラム入口側の配管とサプレッサ入口側の配管とを接続させ,さらに,サプレッサ出口側の配管と検出器入口側の配管とを接続させて,陰イオン分析用の流路に切り替えます。純水を送液し,溶離液が流れる配管を純水で洗浄・置換します。完全に純水で置換されると,電気伝導度が2 µS/cm以下に下がります。

③陰イオン分析用の溶離液での置換
陰イオンの分析用の溶離液を流して溶離液が流れる配管を置換します。十分に置換がされたかは、電気伝導度の値で確認して下さい。使用する分離カラムや溶離液により,バックグラウンドの電気伝導度の値は変わります。

④陰イオン分析用分離カラムの取り付け
ポンプの流量を0.3mL/minに下げ,陰イオン分析用の分離カラムを取り付けて下さい。ベースラインが安定したら測定可能です。

 

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Q49:陰イオン (陽イオン) 分析における陽イオン (陰イオン) はどこにでますか?

A49:ウォーターディップと同じ位置あるいはその直前に出てきます。
通常の陰イオン分析あるいは陽イオン分析に用いる分離カラムの充填剤はイオン交換樹脂です。陰イオン分析では陰イオン交換樹脂が,陽イオン分析では陽イオン交換樹脂が用いられます。陰イオン交換樹脂は陰イオンを捕まえて分離する樹脂ですので,樹脂表面には陽イオン性 (正電荷) の官能基 (イオン交換基) が結合されています。このような陰イオン交換樹脂のところに陽イオンが近づいてきた場合,共に正電荷を持っているため反発しあいます (ドナン排除)。つまり,陰イオン分析では陽イオンは充填剤に保持されることなく,分離カラムを素通りし,保持されない成分が溶出する位置 (ウォーターディップの所あるいは直前) に溶出します。陽イオン分析における,陰イオンの溶出もまったく同様です。

尚,排除されたイオンのピークは,そのイオンの濃度や測定条件によって,負ピークであったり,正ピークであったりします。また,ウォーターディップの大きなピークに含まれて確認できない場合もあります。

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Q50:測定用標準溶液の希釈は,どのように行えば良いでしょうか?

A50:段階希釈法を用いて,順次低濃度の標準溶液を調製します。
一回の希釈操作で100倍以上の希釈を行うと誤差が大きくなります。このような標準溶液を用いて検量線を作製すると,検量線のバラツキ,曲がり等の問題が発生します。

基本的には以下のような段階希釈法を用いて希釈して下さい。下記の手順は1000 mg/Lの標準原液から測定用標準溶液を調製する基本的な手順の一例です。

① 予め純水で十分洗浄した希釈用の計量器 (100 mLメスフラスコ) 及びホールピペット (場合によってはマイクロピペット) を希釈段階の分だけ準備する

② 1000 mg/Lの標準原液を用意する。(必ず室温に戻して下さい)

③ 1000 mg/Lの標準原液1 mLを採り,100 mLメスフラスコに入れ,純水を用いて定容する。十分に混合して均一溶液とする。(10 mg/L希釈標準溶液)

④ ③で調製した10 mg/L希釈標準溶液10 mLを採り,上記とは別の100 mLメスフラスコに入れ,純水を用いて定容する。十分に混合して均一溶液とする。(1 mg/L希釈標準溶液)

⑤ ④で調製した1 mg/L希釈標準溶液10 mLを採り,上記とは別の100 mLメスフラスコに入れ,純水を用いて定容する。十分に混合して均一溶液とする。(0.1 mg/L希釈標準溶液)

0.1 mg/L以下の希釈標準溶液を調製する場合も同様の手順ですが,0.1 mg/L以下の試料を作成する場合には容器からの溶出が問題となりますので,希釈容器の材質には注意が必要です。ガラスからはナトリウムイオン,ケイ酸イオン,ホウ酸イオンが,フッ素樹脂からはフッ化物イオン,有機酸イオンが溶出しますので,試料容器と共に体積計の洗浄・管理に注意して下さい。

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