食品に含まれる抗酸化物質の含有量は、特にソーセージのような肉製品にとって大きな関心事となります。ソーセージには脂肪の他に多くの水分が含まれています。ソーセージは、塩類、様々な天然または添加された酸化防止剤、安定剤を含む複雑なマトリックスを持っています。
メトローム ランシマット試験法は、ソーセージ中の酸化防止剤をどのように測定するかという疑問に答えるものです。ポリエチレングリコール(PEG)を担体として使用するこのメソッドにより、ソーセージ中の酸化防止剤を迅速かつ確実に測定することができます。サンプルは前処理なしで分析されます。酸化誘導時間は酸化防止能に直接関係し、従ってサンプルの保存可能期間に関係します。
この技術資料では、892 プロフェッショナル ランシマットを使用したメトローム推奨試験法による各種ソーセージの酸化安定性の測定について説明します。
このアプリケーションは、セルベラとブラートヴルスト・ソーセージで実証されています。
ソーセージサンプルはランシマットで直接測定されます。
サンプルの前処理は必要ありません。
最初に、適量の刻んだソーセージとPEGを反応容器に秤量し、測定を開始します。
ランシマット法では、サンプルは100~180℃の一定の設定された温度でキャリアガス(空気)にさらされます(図 1)。揮発性の高い二次酸化生成物はキャリアガス(空気)とともに測定容器に運ばれ、測定溶液に吸収されます。
測定溶液の導電率は連続的に記録されており、二次酸化生成物の形成により導電率は上昇します。顕著な導電率上昇が起こるまでの時間は「酸化誘導時間」と呼ばれ、酸化安定性の良い指標となります(図2)。
表 1. 892 プロフェッショナル ランシマットを用いたソーセージの100℃における酸化安定性の測定結果
サンプル (n=4) | 酸化誘導時間 平均 [h] | 標準偏差 SD(abs) [h] | 変動係数 SD(rel) [%] |
---|---|---|---|
セルベラ・ソーセージ | 8.75 | 0.75 | 8.6 |
ブラートヴルスト・ソーセージ | 2.29 | 0.17 | 7.3 |
表 2. 892 プロフェッショナル ランシマットを用いたソーセージの120℃における酸化安定性の測定結果
サンプル (n=4) | 酸化誘導時間 平均 [h] | 標準偏差 SD(abs) [h] | 変動係数 SD(rel) [%] |
---|---|---|---|
セルベラ・ソーセージ | 1.44 | 0.06 | 3.8 |
ブラートヴルスト・ソーセージ | 1.99 | 0.16 | 8.0 |
ほとんどのソーセージは、ランシマットで酸化安定性を直接測定することができます。この測定は、完成品の一貫した高い品質を保証することに役立ちます。
PEG法により、加工された最終製品中のα-トコフェロール当量としてあらわされる抗酸化物質について結論を出すことができます。サンプルの前処理が不要であり、個々の成分だけでなく、サンプルの完全なマトリックスの直接的な影響を見ることができます。
892プロフェッショナル ランシマットを用いれば、この品質パラメータを一度に8つの異なるサンプルについて簡単かつ同時に測定することができ、品質管理ラボのスループットが向上します。